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東京暮らしも四年目(1992) 一年目の春はね ただ格好つけることばかり考えていたさ 頭も短く刈上げで ブランド品ばかり好んでいたさ 出会いばかりの毎日に退屈なんてなかったっけ 下手な歌とギターが特技だなんて思って 得意そうに聴かせていたっけ 初めてディスコという場所に行って 踊り狂う若者の群れに混じって 意図も簡単に引っ掛かった女に恋をして 意図も簡単に遊びだけの恋に終わる 全てがただめずらしすぎて 自分の足元すら確かめることできず 二年目の夏にね 初めて同棲ってことをしたよ 僅か三ヶ月の間だったけど 都会の淋しさのせいだって知ったんだよ Y.I.っていう友達が 自分の道をみつけて行ってしまった 最後の夜は朝まででも 話は尽きることなかったっけ 新しいことを始めようとする 友達を見送るのはいつだって寂しいものさ そのくせ何故か取残されるような気がして 嫉妬心さえ抱いてしまうんだ 特別な出会いと特別な別れ 久しぶりに泣いてしまった夜もあった 三年目の秋はね ただ歌ばかり作っていたな できた歌を他人に聴かせたら 暗いっていわれたっけ そんな歌をギターもって新宿まででて 声張上げてうたっていたよ まばらに立止る他人が妙に嬉しかったな 投銭で買った酒もうまかったな できることなら歌でメシをくっていきたいと 漠然とは思うものの 自信を打砕かれる怖さが 絶えず付きまとっていて がむしゃらになれる勇気を欲しがってたな 歌とギターばかりで明け暮らした日々 髪の毛も肩まで伸ばし そして今 四年目の秋 夜になるたび呑んだくれている 生活費もいつしかマイナス続き そんなこともお構いなしにね ツケまでするようになって もうすっかり馴染んでしまって ギター持っていって歌ったりまでしている そう僕はこれからも あのいきつけの赤提灯に 引越しするまで通い続けるだろう いままで 話たことが東京に来てからの 四年間の暮らしの一部です ところで君は今 倖ですか 僕はまだまだ時間がかかりそうです 林檎のつぼみ(2013) 自由を探して辿り着いたこの街で 生きてく明日はいつまで続く 伸ばした髪の毛 足並みまで揃わない はみ出しっぱなしの 横顔に空っ風 もうすぐ春です 津軽に置いて来た 地吹雪の中に巻き上げられ悴(かじか)んだ 青春時代は氷の記憶のままにして 煌(きら)めく夜景を眺めながら飲む酒で 何時しか故郷グラスに溶けた 出会いは西から ネットに乗りやってきた 運命ってやつは始めから決まってた もうすぐ春です 津軽に咲く花の 薄紅のつぼみ きみの瞳にも含羞(はにか)んだ 恋人時代に二人で信じた愛の色 もうすぐ春です 津軽に置いて来た 地吹雪の中に巻き上げられ悴んだ 青春時代は氷の記憶のままだけど 旅日記(1989) 夢色の列車で 白い花を摘みに行こうと思い 僕は旅に出た 歌を道連れに あの街この町 手探りで探していこう いつか見つけて あの娘にもあげたいんだ 寂しさで気だるい時があり あの娘に会いたい夜がある でも 僕の旅は まだ続く 履き古したスニーカーと ジーンズはそのままにいこう 明日を映す 鏡になるから 終着駅まで 右手と左手をポッケトに入れ 信じていこう 今はそれが肝心さ 家路につきたい時があり 何もかも許したい朝がある でも 僕の旅は まだ続く 寂しさで気だるい時があり あの娘に会いたい夜がある でも 僕の旅は まだ続く |